日本に「円高・株安・低金利」反転の足音が……
これまで円高、株安、低金利をもたらしてきた投資環境に変化の兆しが見えてきた。
これは今日1月23日の日経新聞電子版に掲載された記事のタイトルである。(以下転載)
国際通貨基金(IMF)が融資枠の増額に動き出したり、ドイツと中国の2国間協議が予定されたりと欧州債務危機の沈静化に向けた動きが相次いでいるためだ。
日本でも先週、日経平均株価が4日続伸し、「個人投資家の動きが違ってきた」との声も一部から聞こえてくる。
円安、株高、金利上昇の1年が実現する前触れかもしれない、というものである。
【日本をめぐる3つの大きな変化】
第1は円相場が対ドル、対ユーロとも天井を付けた可能性があることだ。
対ユーロでは先週末には東京市場で一時1ユーロ=100円33銭近辺と昨年12月30日以来約3週間ぶりの円安・ユーロ高水準を付けた。懸念されていたスペインの国債入札が割と順調だったことが安心感を誘った様子。対ドルでは昨年8月と10月に巨額介入を実施したことがかんぬきのようになっている。
1971年12月に固定相場制のもとで1ドル=360円から1ドル=308円に切り上げられて以来、40年間続いた円高傾向が終止符を打つ可能性を指摘する向きもある。確かに、1995年に一時1ドル=80円を突破したときの衝撃を思うと、その後の日本はデフレ、米国はインフレだったので、1ドル=50円ぐらいにならないと、本当の超円高とはいえないという理屈も成り立つ。
しかし、日本の製造業は6重苦のなかですっかり弱くなり、「1ドル=80円ではやっていけない」と悲鳴を上げている。外国為替相場の変動要因はさまざまだが、日本企業が強ければ円高、弱ければ円安になるのは変動相場制による通貨調整のメカニズムの1つだ。トヨタ自動車の世界シェアが3位に後退したり、電機大手が海外で苦戦していたりするのを踏まえると、円安が進行しても違和感はない。
第2に長期金利の低位安定を支えてきた国債の好需給が崩れる可能性がある。
内閣府が昨年末に発表した2010年度の国民経済計算によると、一般政府の赤字40兆7000億円は、非金融法人企業の貯蓄38兆8000億円と、家計の貯蓄17兆円が埋めている。設備投資をキャッシュフローどころか、減価償却費の範囲内に抑えている企業の「超慎重」な経営姿勢が、巨額の赤字国債の発行を許しているといっていい。
ただ、統計上の理由で企業の貯蓄超過分のなかには海外子会社の増資や海外M&Aなどに振り向けた金額も含んでいる。海外M&Aは「円高のうちに実施したい」と考える企業が多く、今後も一段と増えそうだ。とすれば今後、財政赤字の穴埋めに充てられる企業の余剰資金は減る方向だ。
銀行は貸出先がないので、預金を通じて集めたお金は結局、国債購入に向かうとの見方もあるが、全国銀行の貸出額は昨年9月から前年同月を上回り始めた。東日本大震災被災地などで貸し出しが増えているほか、東京電力などが社債で資金調達をできない分、銀行貸し出しへの依存度を高めている。この点でも国債の購入に回る資金はじわじわと減ると思われる。
第3に株価の上昇は、企業の1株当たり利益の増加が原動力になるかもしれない。
公募増資時の空売りなどでヘッジファンドが手軽に利益を上げるのを禁じる規制が導入されたため、企業の新株発行のハードルは高くなっている。皮肉なことだが、安易な増資がしにくくなる分、既存株主にとっては1株当たりの価値が守られ、投資リターンが上がる期待がある。
12年3月期は東日本大震災の影響もあるため、東証1部上場企業の1株当たり利益は前の期に比べて3%程度の増加にとどまりそうだ。
しかし、13年3月期は復興需要の増大が期待できるほか、5月の東京スカイツリー開業など消費者に財布のひもを開かせるイベントも多い。思惑通りに円高修正が進めば、輸出採算の好転も期待できる。
問題は日本の失地回復が可能か、言い換えれば、円相場は40年間、株価や長期金利は22年間続いてきた長期の一方的なトレンドが本当に転換するかどうかだ。転換に失敗すれば、増税など痛みだけが人々を襲う。
チャンスは大事に生かしていきたい,と願うばかり。
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