五言絶句 「静夜思」と李白
静夜思 李 白
牀前 月光を看る 疑うらくは是れ 地上の霜かと
頭を挙げて 山月を望み 頭を低れて 故郷を思う
〔詩形〕 五言絶句
〔脚韻〕 光・霜・鄕(下平声・陽韻)
【語 釈】
牀前=寝台、ベッドの前【李 白】
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李白(りはく、701年(長安元年) - 762年10月22日(宝応元年9月30日))は、中国盛唐の詩人。
字は太白(たいはく)。飄々とした詩風から「詩仙」と後世の人は呼んでおり、杜甫と並び称される。絶句の表現を大成させた人物でもある。
【詩の心】
(谷崎潤一郎の『文章読本』の一部を引用しながら詩の心に触れてみたいと思います。)
この詩「静夜思」にはなにか永遠な美しさがあります。
ごらんのとおり、述べてある事柄はいたって簡単であり、「自分の寝台の前に、月の光が明るく白くさしこんでいる。 あまりの明るさに白く冴えて霜のように見える。自分は頭を挙げて山上の月影を望み、頭を垂れて遠い故郷のことを思う。」と、いうだけのことにすぎません。 そうしてこれは今から千年以上も前の「静夜の思い」なのであります。
この詩を、今日のわれわれが読みましても、牀前の月光、霜のような地上の白さ、山の上の高い空にかかった月、その月影の下にうなだれて思いを故郷にはせている人のありさまが、不思議にありありと浮かぶのであります。
また、現に自分がその青白い月光を浴びつつ郷愁にふけっているかのごとき感慨をもよおし、李白と同じ境涯にひき入れられます。
併せて、この李白の詩「静夜思」についてもう一つ注意すべきことは、この詩の中には月明に対して遠い故郷をあこがれる気持、一種の哀愁がこもっておりますが、作者は「故郷ヲ思フ」といっているだけで、「寂しい」とも「恋しい」とも「うら悲しい」とも、そういう文字を一つも使っておりません。
このように、文字の表になんともいっていないところに沈痛な味わいが表現できるわけでして、多少なりとも哀傷的なことばが使ってありましたら、必ずあさはかなものになっていると思います。
静かに、しんみりと詠じてみたい。
(PJプレイヤーで詠唱をお聴き下さい)
(静夜思指導をお聴き下さい)
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